―Destiny―


差し出されたのは、真っ白な封筒。

糊付けもされていない封筒の中から、丁寧に折りたたまれた手紙を取り出す。



「これって……」


「柚羽さんが住んでいたアパートから見つかったらしいんだ。御両親からちょっと借りてきた」



それは、永輝さんと似たもの同士だと言われていた柚羽ちゃんが残したメッセージだった。


永輝さんが携帯に打ち込んだ未送信のメールと同じように、誰に宛てたのかも分からない。

まるで、日記のようなひとりごと……。



【どうか、誰かを憎んだり、恨んだりしないで。

 あたしは、とても幸せでした】



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