―Destiny―


大将って、身近な人からは『遼ちゃん』って呼ばれているんだ。

あたしはとてもじゃないけど呼べないけど。



「あ……、もしかしておまえ……」


「へっ?」



あたしのことを頭のてっぺんからつま先まで、ジロジロ見ながら彼が口を開いた。



「学校抜け出して食べに来ているっていう、『柚ちゃん』か?」


「はっ!? なんで知って……」


「おばちゃんがすっげー気に入っててさ。女のくせに食べる量もハンパじゃねぇって」



うっ……。

おばちゃんに気に入られてるのは嬉しいけど……。

違うところを気に入ってよ、おばちゃーん!


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