―Destiny―
「……あ……」
急に胸がドキドキしてきて、あたしは何も言い返せない。
特大のラーメンとチャーハンは、あたしの頭の中からすっかり消えていて。
そのかわりに、奏汰の存在だけがあたしの中に無理やり入ってくる。
「柚! ねぇ、柚ったら!!」
隣に座る真菜が、あたしの目の前で手を振りかざす。
「あ、あぁ、うん。食べるよ、ちゃんと」
「遼ちゃんが作ったやつじゃねぇから、味の保障はないけどな」
「……いただきます」
レンゲですくったラーメンのスープを一口飲む。
緊張して、味の違いなんか分からないよ。