―Destiny―
――あたし、村岡 柚。
すぐそこの高校に通う一年生。
昼休みになると、たまに学校を抜け出してここでゴハンを食べている。
お母さんが作ってくれるお弁当もいいけど、ここのラーメンとチャーハンも捨てがたいんだよね。
「あー、やっぱここのチャーハン最高! ラーメンもおいしいし、言うことなしだねっ」
はふはふとチャーハンを頬張りながら本音をこぼす。
おばちゃんは嬉しそうに目を細めながら、そんなあたしを見ていた。
チャーハンを半分ほど食べたところで、入り口のドアが勢いよく開いた。
その音に、あたしもおばちゃんも、店にいた客も、同時に入り口を振り返った。
「おっ! 大将ー! 久しぶりだなぁ!」
おじちゃんたちが嬉しそうに声をかけると、大将は少し照れたように静かに笑った。