―Destiny―
「……先生、なんで嘘ついたんだろ」
すでに裏口の方に行ってしまった先生。
あたしは嘘をつかれたことが悔しくて、子供のように拗ねる。
「そんなことより……」
先生の嘘つきだのとブツブツ文句を言うあたしの方に、奏汰がくるりと身体を向けた。
「おまえはここでなにをしていたんだ? 柚」
「……あっ……」
あたしより背の高い奏汰が、身を屈めてあたしの顔をすぐ間近で覗きこむ。
お互いの息がかかるくらいの距離。
――ドキン……ッ
「あの……ね?」