―Destiny―


もうすぐ四十歳って言ってたけど、大将はうちのお父さんよりもずいぶん若く見えた。


無造作にセットされた短めの髪。

がっちりとした体系。

見た目は三十代前半って感じ。


とてもじゃないけど、オヤジなんて呼べない雰囲気……。


両手にスーパーの袋を持った大将はゆっくりと店の中に入ってくる。



「遼ちゃん、珍しいねぇ。表から入ってくるなんて」



おばちゃんが目を丸くして言うと、遼ちゃんと呼ばれた大将は呆れたように「裏口の鍵、閉まってたんだよ」と返した。



そんな大将に、あたしの視線は釘付けになったままだった。


口に入れようとレンゲですくったチャーハンは、あたしの口の前でぴたりと止まったままで……。



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