―Destiny―


そんな奏汰の言葉が、本気であるはずがないと分かっているのに。

ドキドキしながらもあたしは、自然と思った。


――あたし、奏汰のこと好きになりそう……。



「……運命……か」



奏汰の『運命』だと言った言葉。

笑い飛ばすとばかり思っていた先生は、なにかを考え込むような顔つきであたしたちを見据える。



「運命なら、幸せになれよ」


「……先生?」



本気でその言葉を受け止めた先生に、あたしも奏汰も拍子抜けしてしまって。

ぽかんと口を開け、唖然としていたあたしたちを残して、先生は店の前から去って行った。



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