―Destiny―


あたしが奏汰に対して、気持ちが変化していったように。

奏汰もまた、彼女に対して気持ちが変わっていっている。



照れながら話す奏汰。

微笑ましいような、苦しいような、複雑な気持ちだよ。




「あー……、なんか雨が降ってきそう」



ずっと晴れていたはずの空。

気づけば、どんよりとした雨雲が広がっていた。

やっぱり今の季節は梅雨なんだと、改めて思い知らされる。



「あたし、帰るね」



――違うんだ。


雨が降り出しそうだから帰るんじゃない。



< 71 / 328 >

この作品をシェア

pagetop