―Destiny―


「真菜、本当は奏汰のこと……」



思いつめたようにあたしが聞くと、真菜はさらに笑った。



「奏汰くんのこと好きなら好きって、ちゃんと言うわよ。前だってそうだったじゃない?」



言われてみればそうだ。

同じ人を好きになった時。

真菜は、先に彼を好きだと告白したあたしにこう言ったんだ。


『ごめんね、柚。あたしも好きなのよ。だから相談されても無理だわ』


あっけらかんな真菜は、いつだって自分の気持ちを素直に言う。

同じ人を好きになったからと言って、あたしを憎むこともしない。


だからこそあたしは、真菜とずっと付き合ってこれたんじゃないかと思うんだ。



< 82 / 328 >

この作品をシェア

pagetop