―Destiny―


「どうした?」



首にかけた真っ白なタオルで、額の汗を拭う奏汰。

にこりと笑うその表情に、胸がきゅっとしめつけられる。



「……あの……、昨日の返事……!!」



あたしは上目遣いで奏汰を見る。



「あぁ。そんなに急がなくてもいいのに」



緊張しているあたしの頭を、奏汰は子供をあやすような仕草でぽんぽんと撫でる。



こんなことされたら、余計に緊張しちゃうじゃない。

緊張しすぎて、あたし、泣きそうだよ。



「あたしっ、あああたしもっっ……」


< 88 / 328 >

この作品をシェア

pagetop