―Destiny―
第三章
■ 彼の存在
奏汰と付き合い始めてから、あたしたちの距離は急速に縮まりだした。
あたしの一日は、奏汰からの「おはよう」メールで始まり。
「おやすみ」メールで終わる。
大学の講義の合間、バイトの休憩中。
わずかな時間ができれば、奏汰は他愛ないメールをあたしに送ってきた。
それは奏汰がマメな人間だからじゃない。
あたしと出会うまで、奏汰には奏汰の生活があった。
大学に通い、夜はほぼ毎日のように【来来軒】でバイト。
たまの休みには、ひとり、あてのないドライブを楽しむ。
そんな奏汰の日常を変えたくなかったんだ。