アタシだけの君♪
気がつけば校庭に来ていた。
長距離走るのは得意じゃないから、息が乱れてる。
「何やってんだろ、アタシ」
そう呟いて笑おうとしたけど、口角は下がったままで、涙しか出てこなかった。
「ハァ、やっと追いついた」
振り向きたくなんかない。
声で分かる。
「誤解なんだよ。アイツが勝手にキスしてきただけで、オレはアイツのこと好きじゃないから。なぁ、愛?聞いてる?」
もうやめてよ。聞きたくない。
アタシの肩を掴んだトモの手を払いのけた。
必死で声を絞り出す。
「...呼び捨てに、しないでくれる?
後輩のくせにタメ口とかありえないから」
驚いてるトモを残して、教室に向かった。
ひとりで家に帰るために。