不良君と私の恋愛物語
「やめろー!!!」

そう言ったときは遅くて。

渡辺は抜いたナイフを握り締めたまま震えていた。

ドバドバとあふれてくる血がいくら押さえても止まらない‥。


「冴子?!大丈夫か‥!?」

「か、ずき‥。よか‥た‥。無事‥。」

「早く救急車呼んでくれよ‥!!!」

この状況に動揺してしまって誠人も聡も動けないでいたけど、俺の一言に目が覚めたように携帯で救急に電話し始めた。

「冴子‥。なんでこんなこと‥。」

ひざの上に肩を乗せて顔に手をやった。

「かず‥き‥。しあわ‥せに‥な‥て‥」

ニコっと笑った。

「何言ってんだよ!一緒に幸せになるんだろ?!お前と一緒じゃなきゃ、俺は幸せなんかじゃないんだよっ!!!」

「ありが‥と‥。」

目を閉じてしまった。

「冴子?!目開けてくれよ!!もうすぐ救急車来るから‥!!!だから‥!なんで冴子なんだよー!俺だったはずなのに‥!!!」

「生きて‥。」

目を閉じたまま冴子が喋り始めた。









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