不良君と私の恋愛物語
バタバタ、と足音がしたと思ったら。

「一樹!」

母親だった。

「大丈夫なの‥!?お母さん連絡受けて‥。あぁ良かった‥!無事で良かった!」

俺の体をべたべたと触る。

「頭どうしたの‥?大丈夫なの?!ちゃんと看てもらった?!」

ペラペラとまくし立てる。

「‥なんで‥!!」

「え?」

「なんであんな事冴子に言ったんだよ!!!」

「‥‥‥。」

「冴子は俺のせいであの中で戦ってんだよ‥!」

手術室を指差すと母親は呆然と立っているだけだった。

「親悲しませちゃダメだって‥。冴子は言ってた。親がいないのに、そうやって思える子なんだよ‥!誰よりも人のこと思ってやれる子なんだよ!!」

壁をドンと殴った。

「認めてくれよ‥。頼む‥。冴子のこと、認めてくれよ‥!!!」

返事を聞く前に手術室があわただしく動きだした。

「何があったんだ‥!?」

すると、看護婦さんがこっちに寄ってきた。

「誰か!O型の人は居ませんか!?血が足りません!」

緊迫している様子だった。






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