鈴音
 ミュールというのは、かわいらしいサンダルのことだと俺は脳に記憶させた。

「ミュールを違うものと勘違いしてた」
そう言うと、さっきの自分をこらしめたくなった。

「ふふ、だと思ったー」

「いや、でも約束通り何でも手伝うよ!」


「隣にいるだけでもいいよ」

森里さんは笑いながら言った。

隣にいるだけでいい、一体どういう意味なんだ。

その言葉に何かを期待してしまってもいいものか。

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