切なさに似て…
お父さんとあの人が正式に終わったのは、それからずっと後だった。

私の高校受験の時期だった。

どっち共の “浮気”が原因だったが、頻繁に繰り返されていたことに、何が要因となったのかはうやむやだった。

お父さんは新しい人との新生活を送るのに、住んでいた一軒家から追い出された私たち。


益々、私とあの人の溝が深まった。


そりゃそうだ。

あの人にすれば私は実の子供じゃないのだから。

そもそも、私はお父さんの実の子供だというのに、この2人と一緒に追い出されたのだ。



15歳にもなれば、それなりの知恵を身につけていた私は、手切れ金としてお父さんに高校3年間の授業料など、全てを面倒見てくれるようにと。

それと引き換えに、2度とお父さんの前には姿を現さないことを誓った。

そのおかげで、真新しい制服に、真新しい鞄に、真新しい教科書。高校生活は有意義に過ごせた。


あとは、このボロアパートに帰って来なければいいのだから、そんなのは朝飯前ってもんだった。


この先に待ち構えている未来になんて、期待すらしてなくて、希望でさえも見出せなくて。

昔、世間を騒がせたノストラダムスの大予言が、今この瞬間、当たればいいのに。

そう思っていた。


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