切なさに似て…
押し入れの梁にかけられた、森高の制服がふと目についた。

部屋の隅には、学生鞄にローファー。

青色のジャージ。


どっから見ても、私が3年間お世話になった物ばかりだ。


…そっか、今年1年生になる奴らは青色か。


私のお下がりしか着させて貰えなかったレナは、高校生になっても私のお下がりか。


…どうでもいいんだけど。

笑うしかないね、あんた。


丸まった布団を見下ろし、心の中でこれでもかと笑ってやった。


「バイバーイ。お元気で」


明るく放たれた私の台詞に、レナはやっぱり反応することはなかった。

憎しみ合っている奴と会話したって仕方ないと、子供のレナに教えたのは、私だから。


私は2度と戻ることはないだろうと思われる、この辛気臭い部屋を後にした。
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