切なさに似て…
「段ボールに4つって、女のくせに少な過ぎ。どんだけだよ」

人がせっかく10個分用意したのに。と、ブツブツ言いながら信浩は4個の箱をクローゼットの一番下に押し込む。


「だって…、前にほとんど処分したし。少ない方が好都合だし…」

女のくせにとか言われたって、困る。

何だか納得いかない私はそんな信浩から目を逸らし、昨日の鍋のダシにうどんを放り込む。

「しっかし、身軽な女だな」

片付けを終え、呆れた口調で定位置の座椅子に腰を下ろした。


「はいはい。すいませんねっ。どうせ荷物は少ないですよーだっ」

憎まれ口を叩き、顔を背けた私に信浩は溜め息を吐いた。

「最初から言う通りにしてりゃいいのに…」

と、また大きく息をついた。


「遠慮なんかすんなよ」

ボソッと小声で吐き捨て、指で弾いたジッポの音が響いた。


その台詞に、私の箸を動かす指の動きが静止した。
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