切なさに似て…
次の日、帰ろうと会社を出たところで一弥に呼び止められた。
街灯に照らされた男女の影は、外へ出てしまえば“結城さん”でもなければ、“立花さん”てもなかった。
「柚…、話があるんだ」
「一弥…」
皆まで言わなくても、その話は想像がつく。
一弥から別れ話を告げられた。
「俺、彼女にはいつも傍にいて欲しいから」
ごめん、別れて欲しい。そう申し訳なさそうな顔で言ったけれど、一弥がそんな顔をする謂われはない。
「うん…。わかってる」
それだけ言った私に、もう一度『ごめん』と謝った。先週の土曜日には『愛してる』と言ったその口で。
わかってる。って、何を?
自分が吐いた台詞に、頭の中で自問した。
謝られるようなことをしたのは一弥じゃない。
利用するだけ利用し尽くしたのは私だ。
それでも、罪悪感はこれっぽっちもない。
私はまた別の人を見つければいい。
顔はついていればいい。
性格は人並みであればいい。
条件はその口調と仕草と香り。
捧げるのは一握りほどの“愛情”であって、共にする生活じゃない。
街灯に照らされた男女の影は、外へ出てしまえば“結城さん”でもなければ、“立花さん”てもなかった。
「柚…、話があるんだ」
「一弥…」
皆まで言わなくても、その話は想像がつく。
一弥から別れ話を告げられた。
「俺、彼女にはいつも傍にいて欲しいから」
ごめん、別れて欲しい。そう申し訳なさそうな顔で言ったけれど、一弥がそんな顔をする謂われはない。
「うん…。わかってる」
それだけ言った私に、もう一度『ごめん』と謝った。先週の土曜日には『愛してる』と言ったその口で。
わかってる。って、何を?
自分が吐いた台詞に、頭の中で自問した。
謝られるようなことをしたのは一弥じゃない。
利用するだけ利用し尽くしたのは私だ。
それでも、罪悪感はこれっぽっちもない。
私はまた別の人を見つければいい。
顔はついていればいい。
性格は人並みであればいい。
条件はその口調と仕草と香り。
捧げるのは一握りほどの“愛情”であって、共にする生活じゃない。