切なさに似て…

鞄から取り出した携帯電話。

信浩宛に無意識に送った空メールは、数分待たずにすぐ返信が返ってきた。


［次のあて先へのメッセージはエラーのため送信できませんでした。
送信先メールアドレスが見つからないか、送信先メールサーバの事由により送信できませんでした。
メールアドレスをご確認の上、再送信してください。］


完全に無の状態のまま、次はリダイアルボタンを押し、受話口を耳に押し当てる。

なかなか繋がらない電話。コール音が鳴らない電話。


やっと繋がったものの、相手の一言に手の平に包んだ携帯は、ガチャッと床へ落ちた。

［…お客様の都合によりお繋ぎできません…。おかけになった電話番号は…］

僅かに耳に届くガイダンスは、無情にも地面で繰り返す。


そんなことを聞きたかったんじゃない。

電話をしたのだって、そんなことが聞きたかったんじゃない。