切なさに似て…
この信浩が作ったチャーハンを食べるのが、もしかしたらこれが最後かも知れないとか。

考えたくはなくても、真っ白になった頭の中でぐるぐる駆け巡る。


そう思ったら、一粒残らず味わってやろうと思うのに、喉につっかえて噛み進めることが出来なくなった。


『いつまで友達なんだよ』

『好きになってくれるんだよ』

『何で、俺じゃないんだよ』

って、言ったくせに…。


じゃあ何で…。

いないの?

何で、電話が繋がらないの?

何で、ごめんなの?ありがとなって…、何で?


嘘つき…。


“今までありがとな”

映し出すその一言。


男のくせに妙に綺麗な信浩の文字が、徐々にぼやけていく。


何で…。

これが最後みたいなこと言うの?


瞳から溢れ出る涙を止める方法を見出だせずに。

泣き疲れたのか、何も考えたくなかったのか、どうやら私は知らぬ間にきっちりベッドの上で寝ていたようだ。
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