切なさに似て…
起き出した時には日付が変わっていて、翌日の昼前だった。

おかげで、土曜の晩の孤独感を味わずに済んだ。

涙の跡が突っ張る頬。

メイク箱から出した鏡に映る、私の泣き腫らした顔は酷く情けない。


何度も言わなくても、もうわかったよ。

信浩の書いたレポート用紙を小さく畳み、ポーチにしまい込む。

そのポーチから取り出したネックレスチェーンとジッポ。


鏡に向かい合い、そっとチェーンを首元につけた。貰ってから首に通すのは初めてだった。

しまい込んでいたからか、新品同様の輝きを見せる。


メイクボックスの奥から、購入したのはいいけど使われることがなかったジッポオイルを見つけ出し、ジッポにオイルを注入した。

初めてオイルが注がれるジッポ。


よくやっていた仕草を真似して、カチンッと指で弾き開ける。

同じ物なのに全く音が違って聞こえるのは、私がやるからか。新品同様だからか。
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