切なさに似て…
立ち上がった私は、テーブルの上に置かれたままの、信浩がいるという住所が書かれた紙切れを手に取る。
「ありがとうございました~っ」
2人のバーテンダーに見送られ、治の後を追いかけて外へと飛び出すと、サーッと音色を奏でながらサラサラの雪が降りかかる。
「雪かぁ…」
その治の一言に、私は真っ白な空を見上げた。
「…3月の終わりって。…冬なのかな、春なのかな…?」
ポツリ呟いた私の問い掛けに、麻矢は上をちらっと見て。
「…ビミョー」
そう吐いた麻矢の白い息は夜の街に溶けて行く。
「こっちはまだ冬だろ。あっちは春だろうけどな」
治の言うこっちとは、私達がいる地方で。あっちとは多分…、信浩がいる九州なんだと思う。
私が言わずとしていることを察したのか。
「もう11時過ぎてんな、あいつ寝てんだろ。携帯は解約したんだとよ。俺も番号は知らないんだよな。
向こうに行ってからも、お前のこと思い出したくないからって…」
「ありがとうございました~っ」
2人のバーテンダーに見送られ、治の後を追いかけて外へと飛び出すと、サーッと音色を奏でながらサラサラの雪が降りかかる。
「雪かぁ…」
その治の一言に、私は真っ白な空を見上げた。
「…3月の終わりって。…冬なのかな、春なのかな…?」
ポツリ呟いた私の問い掛けに、麻矢は上をちらっと見て。
「…ビミョー」
そう吐いた麻矢の白い息は夜の街に溶けて行く。
「こっちはまだ冬だろ。あっちは春だろうけどな」
治の言うこっちとは、私達がいる地方で。あっちとは多分…、信浩がいる九州なんだと思う。
私が言わずとしていることを察したのか。
「もう11時過ぎてんな、あいつ寝てんだろ。携帯は解約したんだとよ。俺も番号は知らないんだよな。
向こうに行ってからも、お前のこと思い出したくないからって…」