切なさに似て…
『だから、友達です』

なんて畏まった言い方して。


そうだよ、友達だよ。ずっと。そう思ってきた。だけど、改めてそう断言されちゃうと胸が苦しい。

さっきからズキンズキンうるさい。


「嘘つき…」


『いつになったら…、俺のこと好きになってくれるんだよ…?』

って、言ったくせに…。


そんなこと言われたら、誰だって期待しちゃうよ。ひた隠しにしていた気持ちだって溢れ出すよ。

やっぱり、信浩はズルイよ。

嘘でも、私には言っちゃいけなかったよ。

そんな冗談。…通じなかったよ。


必死で唇を噛み締めていないと、熱くなった瞼の裏側から柄にもなく涙が零れ落ちそうになる。

ここまで来て、まだ本心を隠そうともがいている自分に悔しくなる。


…なんで、来ちゃったんだろう。

何を望んでたのだろう。


私もずっと好きだったと、伝えに来たはずなのに。

今となってはその虚しいだけの言葉を、再び胸の奥底へとしまい込み、蓋を閉めるしかなかった。
< 341 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop