切なさに似て…
「へぇー。ってか、あんた友達いないの?」

まだ夕方6時だというのに家に篭りきりなんて、今年高校生になる妹を怪訝そうに見る。

「お姉ちゃんこそ…、珍しいね?」

「すぐ行くし、着替え取りに戻って来ただけだから」

私はそう言って、居間と隣り合わせの部屋へと向かう。


狭い4畳半の私が使っていた部屋は、レナの私物化とされていた。

押し入りから適当に洋服を見繕い、持っていた3日分の着替えが入ったバッグを押し込んだ。


「あの人、お姉ちゃんの物捨てるって言ってたよ…」

ガチャガチャと食器が擦り合う音をたてながら話す、レナの物静かで細々とした口調に苛々する。


「あ、そっ。じゃあ、捨てられる前に取りに来るわ」

「部屋、借りるの?」

「別に…、あんたに関係ないじゃん。…あんたこそ、出てかないの?」
< 45 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop