切なさに似て…
寝返りを打った私は目を擦り、僅かに開いた視野の狭い瞼の奥から辺りを見渡す。

明かりを点す間接照明がやたら眩しく感じる。

薄暗い視界に、窮屈に思える体の隣へと視点を移した。


頭をしっかりと右腕に乗せ、腰に回された重みのある左腕に包まれている私の体。

「…んっ」

寝息を立てていた一弥の体がモゾッと動き、私の体に乗っかかった体重。

締め付けられ身動きひとつできない。


…重いっ。


必死に体を捩るも、その腕からはどうしても抜け出せなくもがくのを諦める。

「…重い?」

寝ぼけたような掠り声が耳の傍で聞こえる。


「起きてたの!?」

びっくりして声を上げ、頭をずらし焦点を合わせた。

「…さっきね」

寝起きだというのに誇らしげに笑みを浮かべた一弥に、私は口を尖らせる。

「意地悪っ…」

自由になった体を動かし、拗ねたかのようにふかふかな羽毛布団を頭の先まで被る。


隣でガサガサと布団の擦れ合う音を立て、一緒になって暗闇の中へと侵入して来た、一弥の息が頬にかかる。

「ごめん…」

瞼に落とされたキス。


一弥は左手で私の髪を梳きながら、頭を撫でる。

「怒った?」

って、少し不安そうな声色を出す。
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