神消し
Tシャツにジーンズ、軍手にタオルを首にかけ、博は日本特有の湿気た暑苦しさに眉をひそめながら草を抜き続ける。
草抜きに終わりが見えた頃、庭と山の間に流れる川に男が立っていた。
博(何してんだ…?)
博はその男をじっと見た。すると男は川のぎりぎりの所まで歩き川を見下ろした。
博(自殺する気かッ!?冗談じゃねー!ぅちの神社の評判下がる!!)
そう思い博は自殺を止めようと走りだした。
「おい!!お前こんなとこで自殺なんてすんじゃねー!!」
博は男にむかって叫んだ。
次の瞬間、博は斜面を走り降りた勢いが止まらず、男の隣を擦り抜ける形で川に落ちてしまった。
「誰が自殺などするか。この大うつけ。」
落ちてしまった博に対して男は冷ややかに言い放った。博は濡れた髪をふるって川から上がった。
博「は!?大うつけ?お前それが助けようとした人間に対する言葉かッ!つーか勘違いさせるよーな行動をとるなー」
「勝手な想像をするお前が悪い。」
またも冷たく言ってのけた。博が反論しようとしたとき博の祖父の声がした。声のする方に振り替えると
「博〜〜!!さぼってないでちゃんとやらんかぁっ!」と声だけが聞こえた。
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