神消し
博と加賀は空を見上げた。辺りが光っていた。蛍の光の様に穏やかな光だ。しかしその光はよく見ると一つ一つが大きく、ふわふわと宙を動いている。まるで心霊モノの漫画に出てくる魂の集まりのようだ。その光は徐々に由清のもとへと集まっていく。そして、なまぬるい風が髪を撫で、温かみを帯びた光が消えた。
いきなり元の暗闇が蘇ったものだから博、カズキ、加賀の三人は目が暗さに慣れるまでに時間がかかった。博「…?由清?さっきの光は……。」
博が由清の方を見るとそこには髪の長い綺麗な女の子が立っていた。
三人が凝視しているとその女の子がゆっくりとしゃべった。
「これが由清、……俺の本来の姿だ。」
三人は騙されているかのような気分だった。髪はロングになり、伸びた部分から燃えるように紅い色をしている。
しかし加賀はすぐにいつものノリを取り戻した。
加賀「髪の長さだけで結構変わるもんやなぁ!それカツラかぁ?実はハゲ!?」デリカシーも緊張もない質問に対しカズキがツッコんだ。
カズキ「襟足から髪の色違うじゃないですか。カツラにするなら同じ色にするはずでしょ。」
博「そーゆー問題でもねーと思うんだけど……。」

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