神消し
日は暮れ、空は薄紫色に染まっていた。グラウンドには人も少なくなり辺りは静まり返っていた。
部活が終わって30分ほどが過ぎていた。カズキは一人着替えずに木陰で一休みしていた。
カズキ(……この時間が一番静かでいいなぁ…。)
なまぬるい風がゆっくりと吹く。カズキは軽く目蓋を閉じた。
カズキ(このままココに居たい…。家には…帰りたくない…。)
カズキが家に帰りたくないと思うようになったのは昨年の春から。両親が度重なる喧嘩により今では離婚問題に発展してしまった。それからカズキは日本に滞在している母方の祖母の家で暮らすことになった。
カズキは祖母が嫌いで家に帰りたくないわけではない。両親のいない家に帰っても気が重くなるだけなのだ。
カズキはそのまま眠ってしまった…。
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