神消し
三人は一瞬にして黙り込んでしまった。 
土蜘蛛退治に向かった夜のことを各々思い出す。

加賀「ホンマ……。中学最後の夏休みにどエライ体験してもたなー。」
カズキ「しかも、下手したら死ぬような体験ですもんね…。」
今更ながらゾッとした三人であった。 
博「そうだよな。ちょっと軽く考えすぎてたよな………。もし……………。」

博は真剣な面持ちで言葉を止めた。 
カズキ「『もし』…何です?」
博「…………。もし次に由清が同じように土蜘蛛退治に出るって言っても断ったほうがいいんじゃないか!?」

カズキと加賀も真剣な面持ちになった。 
加賀「………。せやな。俺たちには荷が重すぎんで。」
カズキ「一度は引き受けてしまったのに……。」
博「だからだよ。さっきも言ったろ?『軽く考えすぎてた』って。まだまだ世の中の常識を学ばなきゃいけねーのにたかが中学生に何ができんだよ。それに本当に死んだらどうするんだ?」   
加賀「それこそ俺らが『生け贄』になるもんやで。」カズキ「…………。そう……ですね。」
博「だろ?よし、じゃあこの中の誰か一人でも由清に出会ったり見つけたらちゃんと断ること!いいな?」
カズキと加賀が同時に頷き再び宿題を進めはじめた。
< 50 / 61 >

この作品をシェア

pagetop