神消し
始業式前日━━━

博と加賀は自転車で海まで釣りをしに来ていた。

加賀「いやー…この一週間大変やったなぁ…。」
博「でも本当、宿題終わってよかったよなー。」
二人は堤防に腰掛けて釣竿が引くのをぼけーっとした顔で眺めている。
博「本当、カズキのお陰だな。」
加賀「そやなー。カズキっちおらんかったらこないに暢気に釣りしてられへんで。」

宿題が全て終わったのは2日前のことだった。
カズキの予想では4日で宿題が終わるはずだったのだが加賀のやる気のなさによりかなりの時間を要してしまったのだ。 
それでも二人にしては宿題が終わったこと事態が奇跡なのだ。 
加賀「でももー始業式やでぇ……。」
釣竿が引かれ加賀は素早く釣竿を上げた。 
博「お!メバルじゃん。」

加賀「今日のおかずやな。」
博「煮付けがうまいぜ。」

加賀「それよか博やん、さっきから引いとるで。」

博「うっわ!!気づいてんならさっさと言えよ!」
勢いよく釣竿を引くと小さなカサゴが釣り針に必死にしがみ付いていた。 
博「……またカサゴ。」
すでに博の生け簀には7匹のカサゴが所狭しと泳いでいた。
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