神消し
クラス担任が「転入生だ」とおきまりの言葉を言うが誰の耳にも届いていない。 
由清のその風貌を食い入るように見つめていた。 

博と加賀は違った。 
驚きを隠せないでいる。 前の席に座っている加賀は直ぐ様一番後ろの席の博の方を振り返った。 
しかし博は状況をまだ理解できずにいたので加賀を無視。 
博(━━ちょ、何で何で由━)
由清の声が博の思考を遮った。 
由清「神之由清です。よろしく。」
普通の挨拶をしまた博は混乱する。 
しかし混乱する暇なく加賀が大声をあげた。 
加賀「俺と博、この子の知り合いなんや!!」
可愛い女の子と知り合いと言えば自慢にはなる。しかし案の定、由清は無視。クラスは大爆笑。男子たちからは「古い手つかうな」などと馬鹿にされる始末。

博(━━あぁ。俺、このまま消え去りたい………。むしろ……加賀消してぇ)
むきになっている加賀をよそに博一人が恥をかいている気分に陥った。

ホームルームは簡単に終わり、始業式のため体育館への移動。博と加賀はどうしても由清と話したいところだったが男女ともに由清に興味深々でとりまいているため由清に近づくことすらできなかった。
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