春が来るまで…
喜美は恥ずかしそうに、リンゴのように赤くなった自分のほっぺたを両手で隠した。




僕も照れくさくて、右手の人差し指で鼻の下をこする。




僕は大事な喜美が壊れてしまわないように、そっとそっと両腕で喜美の体を抱きしめた。




『喜美、好きだ…』小さな声を雪が音もなく消していく。




それでも、僕の耳に届いたのは『和くん、好き…』と、今にも消えてしまいそうなほど小さな喜美の声だった…。
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