春が来るまで…
『先生ぇー。僕たちまだ中学生。車も運転できない。携帯も持たせてもらえない』




先生は腕を組みながら頷く。




『喜美と僕の家は歩いたら一時間かかる。雪が積もったら倍かかる。歩道は滑るし、車道も狭くなる。自転車に乗ることも出来ないよ』




先生は眉間にシワを寄せている。




『バスは何時間もこないし、乗り遅れたらパァだ』




僕は深いため息をつく。




『親に付き合ってるってまだ言えないでいるし…冬は寒いし…寂しいよ…』




喜美がそっと僕の手に自分の手を重ねる…
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