春が来るまで…
『喜美、今から喜美の家に行こう。僕、挨拶するよ』




喜美は目をまん丸にして驚いた。




先生はまた腕組みをし、会話を聞いてる。




『…許して…くれるかな…』




喜美は不安そうに髪の毛をいじる。




『それで、喜美にもうちの親と会って貰いたい』




喜美は遠くを見ている。




何かを考えるとき、喜美は髪をいじりながら遠い目をする。




『僕たち、お金もない、車もない、携帯もない。喫茶店なんかで会うのもいいけど、毎回お金が消えていく。どっちかの家で会った方がいいと思うんだ…』




『じゃなきゃ、冬休みの間、ホントに会えなくなっちゃう。僕は嫌だ。寂しいよ…』




喜美はまだ遠い目をしながら『私も寂しい…』と呟いた…。
< 41 / 63 >

この作品をシェア

pagetop