春が来るまで…
早速僕らは先生の車の後部座席に乗り込んだ。




大きな先生には似合わない、案外小さな車だった。




先生は僕の思ったことが聞こえたかのように、『小さいけど、外車だぞ』と笑った。




先生は普段ジャージを着ているが、今日は終業式だったのでスーツをカッコ良く着こなしている。




ジャージの先生が現れるより、スーツの先生の方がなんとなくうまくいきそうだった。




不安そうな喜美の手を、僕はギュッと握りしめ、『なんとかなるよ』と囁いた。




喜美は頷いて、僕の手を強く握った。
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