春が来るまで…
先生はひとつ咳払いをして話し始めた。




『今日お伺いしたのは、実はこの二人のことなんです。彼は田中和樹と言って二人は同級生で僕の担当のクラスです』




先生が僕に目で合図した。




『田中和樹です。はじめまして』僕は頭を下げた。




先生は話を続ける。




『初めて聞かれる話かと思いますが、この二人は付き合っています』




お母さんは口元に手を当てて驚いている。




お父さんは、喜美と僕を睨むように交互に見た。




『二人はとても純粋なカップルです。僕は毎日二人を見ていますが、恋に溺れたり、変に背伸びをして大人の恋愛をするような子たちではありません。ただ純粋に好き合っている。僕は彼らの恋愛をとてもうらやましく思っています』
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