春が来るまで…
『彼らはまだ中学生です。車の免許もない。携帯も持っていない。そしてこの雪では自転車で移動するのもままならない。小遣いも余り持っていないから毎回喫茶店などにも行けない。かと言って外で過ごすには寒すぎる』




『僕は東京出身です。二十五で結婚して嫁さんの家に婿入りしました。最初は二人が何故そんなに深刻に悩んでいるかわかりませんでした。そんな僕に和樹が先程申し上げたような悩みを打ち明けてくれたんです』




『和樹は言いました。両親に二人の関係を認めてもらおうと。喜美さんの家に、挨拶に行く!と力強くいいました』




『僕は二人を応援したくなったんです』




先生は一気に、でも丁寧に話し終えると、お茶に口を付けた。
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