春が来るまで…
先生と喜美を玄関まで見送る。




僕は玄関までだけじゃ物足りず、長靴を履いて先生の車まで二人を見送った。




喜美は今度は後部座席ではなく助手席に座った。




窓を開けた喜美の手を握り『がんばろうね』と言い合った。




親父と話したら電話すると約束した。




それから『十八になったら免許とるからその時は僕の助手席に乗ってね!』と言った。




喜美を助手席に乗せている先生が羨ましかった。




『先生!今日はありがとう!僕たちがんばります』と声をかけると、





『喜美の両親も、和樹のお母さんも、素敵な人だ。感謝して甘えなさい』と笑った。




僕たち二人は『はい!』と答え、車が動き出した。




僕は車が見えなくなるまで手を降り続けた。
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