パラレルワールド
「残念だったな、」
不意にそんな声が聞こえて、あたしは後ろを振り返った。一樹の友達の、悟がそ
こにたっていた。
「、残念?」
「あぁ」
「…一樹が死んだこと?」
「というより、一樹自身がな」
言いたいことが解らなくてあたしは思わず首を傾げた。
悟はのどを鳴らして笑って辛そうに眉をひそめた。
「あんな女のために死んじまってさ」
ほんと、ばかじゃねえの
ぽつりと呟くその表情はすごくすごく辛そうで、
一樹が死んでしまったことを思い知らされた気がして、
あたしはそこでようやく涙を流した。
「………一樹」
一樹は、死んでしまったのだ。