ヒトメボレ
いつの間にか
ここは映画館

ゆうは
歩くのが早い。

超疲れたし

「ゆい、何見る?」

「え~・・・と
っていうか何でもアリ、みたいな」

まあ、普通に恋愛物でしょ

「じゃ、俺決めていい?」

「別に」

「じゃ、この『ロード・オブ・ザ・ラビング』見よ!」

はぁ!?
英語の映画かよ

「無理なんですけど」

「じゃあ、なにぃぃ~???」

「・・・別に」

「っていうかさぁ
ゆい、さっきから顔怖ぁい~」

は?

「そんな事ないし」

「そっけないし~
口数少ない!!」

「・・・」


いやいや
緊張してるからだし

好きな人が
隣にいるんだよ!?

普通緊張するでしょ



「なあ」

ゆうの顔が
曇りだした



「俺ん事嫌いだべ」




え・・・




ゆう
怒ってる・・・









違う




違うよ






「・・・・」


どうしよう






言葉が出ない


違うよって

好きだよって




言いなよ、あたし






何、黙ってんだろ・・・









「もういいよ」





ゆうが
行ってしまった



待ってよ


待ってよ


待ってよ




なんで?



意味わかんないんだけど





涙が出る


愛想尽かされた





ゆうが
見えなくなってしまった





マジ意味不・・・


何あいつ、1人で怒ってんだし・・・



「キモいんですけど・・・っ!!」


精一杯のあたしの強がり






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