君の右手

「ぁ、綾乃?落ち着いて!違うから!そういうストーカーみたいな変な意味じゃなくて!男の子!男の子に会ったの!」

『男のこぉ〜!?』

「うん、今日ね、電柱にぶつかりそうになったのを助けてくれたんだ。」
『電柱ぅ〜!?』

「そ、そぅなの。今日寝坊しちゃったから、朝ご飯食べて来なかったんだよね…そしたらふらぁ〜っと…ハハ。」


ガバッ!?
「!?」

『花柄ってば、そういうとこが可愛いんだからぁ〜っ』ギュー

いきなり抱き付いてきた綾乃。これ以上ないって位に力を入れられて…。
「ちょ、綾乃!みんな見てるからッ!〜っ息できないぃーっ!」

『あ、ごめん。』パッ

やっとの事で離れてくれた。

「プハッ、い、いつにも増して、力入ってんね‥」
『あは、ごめんごめん。花柄が可愛くてさぁ〜』
「はいはい」

『もぉー!ちょっとは自覚しなさいっ』

時たま、こういう会話があったりする。綾乃は、私の事可愛いって言ってくれるけど、綾乃の方が絶対可愛い。私なんか、全然普通な顔だし、成績なんか、下から数えた方が早い。綾乃みたいに可愛かったらな、って時々考えたりすることもある。

そういう言えば、あの男の子もカッコ良かったな〜。神様って不公平だ!
なんて考えてると、

『花柄ってば、聞いてんのッ!?』
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