†ブラット†-愛罰-
耳元で囁かれた低い声、だが彼が生徒会長と知ると私は驚きに満ちた顔した。
「貴方が…私を推薦した生徒会長」
「驚いたかい?」
「は、はい…もっと腹黒い人かと…っあ!」
白い制服に着いた真っ赤な血、原因は薔薇の棘で切れた私の指から垂れる血だ。
「大丈夫?」
そう言いながら私の指は彼の目の前に持って行かれた。
「大丈夫ですよ!あの…」
「大人しくしてて?」
そう言われ私はただ、大人しくしているしかなかった。
ところが次の瞬間、目を疑う事が起きた。
ペロ--
滴り落ちる私の血を、彼は舌で掬い上げて飲んでいる。
「へ?あ…ちょっ」
止めようと、顔を見ると彼の瞳は深紅の如く真っ赤になっていた。
「やっ、止めて下さい!」
「クス、ご馳走…」
そう言ってやっと離された私の指。
傷を見れば血は滴り落ちるのを止め、傷口さえも塞がっていた。
「…な、なんで…」
「なんで?僕はね…」
「ヴァンパイアだからだよ…」
唖然とはこの事だと思う間もなく、私に恐怖が襲う。
「ヴァ、ヴァンパイア!?」
「そう、純血種のね…」
そっと夢だと頭に言い聞かせながら私は後退りする。