“涙空”㊤
「じゃあ帰るかな!」

和紀がいきなり言葉を出した。

『ェェ!もう!』

「もう!って今何時だと思ってんの?1時だよ」
時計を見ると夜中の1時だった。

『ェェ!嫌だァァ!離れたくない!』

「わがまま言うなって!つぅか美佐の母さん寝てるやろ?静かに!」

『バカ和紀!』

「何で俺に当たるんだよ!」

『だって嫌だもん…』

「大丈夫!明日から一緒に学校行こ!俺が美佐ん家行くから!」

『ヤッター!じゃあ絶対に来てね!』

和紀は玄関のドアを開け帰っていった。

『嬉しいなァァ!』

私はつい独り言が出てしまった。
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