“涙空”㊤
「えっ…」

私は啓太から口を離し隣を見る。

『和紀…違うのこれは…啓太が勝手に……』

「いいよ…もう…」

和紀は手に持っていた袋を投げ走っていった。

『和紀!』

私は追い掛けようとした。

でも啓太に手を引っ張られ動けない。

「行くなよ…お願いだからやり直したい…」

『ムリだよ…私は和紀と付き合う事にしたもん』
「でもまだ未練あるって言ってたじゃん!」

『そうだけど…』

「じゃあ行くなよ…」

あっ…。

啓太が浮気して私が怒って謝っていた時の顔と同じ。

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