Leliant ~母の名の下に~

「んで、これ」

 大事そうに取り出した箱を開けると、略式のティアラが入っていた。

 王家の紋章が刻まれた主石。裏には王家の家紋と共にリーリアントの花の紋章がある。――彼の紋章だ。神聖言語で「我が妃へ」と彫り込み。

「お前が儀式で彼女に与えるものだが……異論はないか? ないな? ぶっちゃけ急すぎて他に用意できてないんだ」

 どうやらディオがここに来た理由がこれだったらしい。急いで確認に来たらジョシアが寝ていたということだろう。彼が頷くと大急ぎで出て行った。

「時間ないからな!」
 去り際の言葉の通り、すぐに彼は礼装に着替えなければならなかった。


◇◆◇◆◇

< 14 / 20 >

この作品をシェア

pagetop