Leliant ~母の名の下に~
「どうでもいいが、お前、失礼にも程があるぞ」
ディオの肩を掴んでそう言うと、ジョシアは彼女に笑顔を向け、
「こっちが俺の父親のファネリッジ。このうるさいのが俺の乳母兄弟のディオだ」
聞いているのかも分からない彼女に紹介した。
「ああ。すまない。無礼だったな」
ディオではなく父王が、彼女の前に歩み出ると、
「よろしくな。お嬢さん」
言って彼女の手を取り接吻しようとする。と、そこで動きを止め、
「……ほう、手の早いというか、抜け目ないというか」
息子を視界に入れながら呟き、彼女には何でもないというような笑顔を向け、
「油断も隙もない愚息で申し訳ない。よろしく頼むよ」
そう言って、改めて彼女の手にキスをする。
ディオはそれに続いて握手した。
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