散弾銃プレアデス
そして、目の前に現れた「適合種」は小さな身体つきの少女だった。
髪をふたつに黄色のリボンで結い留め、写真の中で笑っていた、事前に知らされていた姿とは最早重ならない。
襟足の包帯とサージカルテープで無駄なく施された処置で、何かしらの手術の為にその髪が刈り上げられたのだと安原は理解した。
理解せざるを得なかった。
その瞳に色はない。
衣服は身につけていない。色鮮やかなパイプを接続され、ストレッチャーの上でただ横たわっていた。
音を発したり、動いたりしたモノの方向へその目をちらと向けることから、意識がハッキリとあることはわかる。
この少女が「飛行型戦闘兵器」として成長した暁には、あの大空を延々と飛び回るのだ。
安原の脳裏に浮かぶ、無機質な言葉の羅列。
レーダーにも観測されず、自国領空やそれ以外までもを飛び回る。
ずっと、ずっと。
「使用不能」になるまで周回軌道を描いて飛び回るのだ。