散弾銃プレアデス
見違えた。
柔らかな桃色を纏ったすばるを目の前にして安原は思う。
埋め込まれた未来の負担に持っていかれる熱量のせいで、年相応には大きくならない身体。
───それでも、8年だ。
ふわりとしたワンピースの桃。
柔らかな髪の茶色。
戦場の灰色。鮮血の赤色。
空の青色。弾丸の黒色。
本当は、すばるには優しい色が似合うのに。
気付けば、安原は頬の冷点に感覚を覚えていた。
「……っふ…」
大の男が涙など……安原自身、そう思わないわけがなく、息をついて無理やり呼吸を整えようとする。
原はそれを複雑な面持ちで見つめていた。
目の前の友は今、何を考えているのだろうか。
何に苦しみ、悩むのだろう。
自分の想像の範疇を遥かに超越した、自分の想いだけでは戦えないような次元の問題なのかもしれない。
自分、少女、国家、敵。
並べられた全てのピースは、単純に白と黒で分けられるモノではないことは、痛いくらいに思い知らされてきた。
安原葵、更には自身…原伸吾というピースの目的は、何だ。
原はじわりと広がる痛みに自問する。