散弾銃プレアデス


*****


ピンクのレースが翻り、勢いよく足音が飛び出した。


「嬢ちゃん!」

安原が呼び止めた声は虚しく響き、その背中を擦り抜けていく。
開いたままの扉から少女は────皆瀬すばるは、瞬く間に姿を消した。

「嬢ちゃんっ…」

もう一度呼んだ原の横を駆け抜けた風は一陣、安原の影。



「皆瀬!!」



長く延びる廊下の奥へ小さくなっていくすばるを呼び、安原もその背を全速力で追った。



戦闘後の昼下がり、この時間の整備棟に人影はない。桃色の衣服の色もあり、その姿を見失うことはなかった。

安原の後ろを、原も慌てて追いかける。


いくつものドアを過ぎ、すばると安原の距離も流石に縮まっていく。

そして、安原はぴたりと立ち止まり、大きく息を吸ってから声を張り上げた。


「…すばるッ!!」


空気が固まる。



桃色の天使は、ぴたりと制止した。



「…すばる」

安原が歩を進める。
すばるは何も言わず、前を向いたまま立ち止まっていた。




「すばる」



安原の手がリボンに伸びる。



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